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Si je tombe dans l'amour avec vous

C-7-0 幸せの定義

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 求める幸せは、一人一人違う。

 私の求めた幸せは、愛する人との温かな家庭で、智は私と添い遂げる事。
 そしてお父さんの求めた幸せは、永遠に一人の女性を想い続ける事だった。


 

「だからって、父を、父を奪うんですか。貴女は。」

 6月の下旬の日曜日。私はだいぶ膨れてきたお腹を抱え、一人の少年と喫茶店で会っていた。少年の名前は建川 浄春(たてかわ きよはる)17歳。

 名前から察せられるように、お父さんの息子で、本当に血が繋がっているのなら、私の腹違いの弟と言う事になる。でも、お父さんは自分の子供は私だけだと言っていた。

「貴女は父のなんなんですか?」

「何って、知ってるからこそ、私を呼び止めたんでしょう?」

 紅茶をゆっくりと飲みながら、意識的に笑ってやる。我ながら意地が悪いと思うが、それも仕方がないと思う。こうでもしなければ、やってられない。

 夕飯の買い物をしていた私を呼び止め、父の事で話があると言った少年は、近くにあった喫茶店に私と入るなり、あなたの幸せは何ですか?と、突然聞いてきたので、私は自分の幸せを答えたあと、お父さんの幸せも序に少年に教えてあげた。

 そして、人の幸せはそれぞれ違うのだと。

「いいじゃない。別にあなたの両親が離婚したって会いに行けばいいんだから。死ぬんじゃあるまいし」

「あなたに何が判るんですか。何もかもが恵まれてるくせにっ!!」

「恵まれてるわよ。それが何?」

 確かに今の私は恵まれている。
 でもそれはそうなるように今まで頑張って戦ってきたから。そして今も戦っている。

 戦わなければ、人は幸せにはなれない。それをこの子はまだ判っていない。ただ指を咥えているだけで、戦いもしていない。

「どうしても知りたいって言うんだったら教えてあげるわよ?私はあなたのお父さんの一人娘。さあ、これを聞いてあなたはどうするつもり?お父さんを責めるの?それとも聞かなかった事にするの?」

「う、嘘だ。」

「何が嘘なの?私があなたのお父さんの娘だってことが?それとも今ここでこうしている事?」

 うろたえる態度で、嘘だ嘘だと繰り返し呟く彼は、きっとお父さんを偶像化しているに違いない。

 父は立派な医師で、浮気もしない、真直ぐで強い人だと。
 でもそれは違う。お父さんだって一人の人間。

 財布から千円札を一枚取り出し、テーブルの上に置き、その上に紅茶のカップを置き、お腹を気遣いながら立ち上がる。

 これからこの子がどうするかは判らないけれど、少なくともお父さんの決意は変わらないと言う事は、ハッキリと断言できる。

 だから。

「心はね、そう簡単には揺るがないのよ。」

 本気を見せない限り、人の心は動かない。
 
 答えともヒントとも取れて取れない言葉を残し、私は喫茶店を出た。


 外は真夏が来る前の準備で雨が降り出していたけれど、私にはそれがあの子の涙のように思えた。


  
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