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Si je tombe dans l'amour avec vous

C-6-11 対談の効果

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 ――対談特集。

 それは一か八かの大博打。
 一歩間違えれば私は再び日蔭者にされ、悪く言われる。それでもそれを引き受けようと心に決めたのは。

「これで、少しは過去と決別できたかしら。」

「当然よ。ありがとう、辛かったわよね、良く頑張ったわね。偉いわよ、吉乃。」

 

一日を掛けて、記者と当事者として質疑応答を繰り返した私と智と灯。
 
 今日の記事は早速記事にされ、来週にはその記事が書かれた雑誌が店頭に並ぶと言う。その早さには苦笑いしか出ない。

「絶対、何がなんでも吉乃の子供の仇はとってあげる。もし犯人が社会的に地位や名誉があろうとも、破滅させて後悔させてやるわ。」

 そんな私と違って、灯は怒りと激しい憤りに燃えていた。

 灯に乞われるがまま、今日までの過去を全てを語り尽くした私。その過去を聞いている時の灯の形相はきっと生涯忘れる事はないと思う。

「今日はありがとう。今度はゆっくり逢おう。ってか、逢って貰うと助かるのよ。旦那がさぁー、私の元カノに会わせろ会わせろって、マジ煩いのよね。結婚してやっただけ感謝しろってのにさ。」

 ちっ、と、本気で煩わしそうに舌打ちする灯は、それでも結婚してもいいと思うほど、その旦那さんに心を許したのだろう。

 私も灯も根っこは同じだから判る。

 類に抱いていた感情は、今となって思えば、あれは【普通】になりたかったから、類を好きだと、愛していると錯覚していたに違いない。その証拠に、類とは身体を重ねた事は一度もない。

 事情が事情なだけに、同性しか興味がなくなった私と、元から同性にしか興味がなかった灯。そんな私達が結婚相手に選んだ男性。きっと、この先も彼らしか愛せない自信がある。もしそれが別れてしまう事になったとしたら、それは多分私と灯の方が悪いのだろう。

「良いじゃない、愛されてて。しかも灯、今妊娠中でしょ」

「えっ?なんで?わかっちゃった?」

 私がのほほんと指摘してやれば、灯は途端に真っ赤になった。なるほど、それでか。

 どうやらお目出度もあってのあの憤りなれば、納得できる。それほど灯は思いつく限りの悪口雑言を存分に吐いていた。

 自分も妊娠していたからあんなに悔しがり、怒ってくれた。それだけで私は嬉しい。

 だから私は感謝の意味を含めて、久しぶりに灯にお礼にキスをして上げた。序に言っておくと、私と灯が付き合っていた当時、キスは灯からが常だった為、私からのキスはプレミアもの。

「もっと、ちょうだぁ~い。」

 案の定、灯はすぐに蕩けた。でも、これ以上は流石にマズイと思う。灯はきっと気付いていないだろうけど、さっきから突き刺さるような鋭い視線を投げかけてくる男性が一人。

 それでも、灯は何度も小さなキスを強請って来る。

(こうなったら、裏の手、ね。)

 進退窮まった私は、物凄い濃いキスを灯にしてやり、失神させた。そして。

「あまりいじめないであげて下さいよ?妊婦だからこその反応なんですから。」

 半分嘘で、半分は本当。でも。

 私はクタッと、しな垂れた灯を、私を突き刺さすような眼差しで見ていた男性に預けつつ、私はその人を観察していた。

 何とも嫉妬深そうな御仁だろうか。刺される前にさっさとここから退散したほうが良いだろうか。

 対談用に選んだ場所は、都内のホテルの一部屋。
 そのホテルは防音に優れている為、密会等の類には最適な場として有名だった。

 本当ならそのまま泊ってもいい様にと、灯は手配してくれたのだけど。

「妊婦・・・?彼女が?」

 私が逃げる算段をつけていると、その男性が鋭い眼差しを驚きに丸めたかと思いきや、顔の表情を和らげた。

「間違いありませんよ。だって、灯はピンヒールとかハイヒールがこれでもかっ、と言うほど大好きですから。その彼女がペッタンコ靴だなんて。妊娠しかあり得ないでしょう。」

 おそらく迎えに来ていたのだろう旦那さんらしき男性。盗み聞きするくらいなら、きちんとさっきの言葉も、ちゃんと盗み聞いておいてくれれば良かったのに。

「大切にしてあげて下さい。安定期が近くなっても、安定期になっても、妊婦に危険はつきものです。それに心が不安定になったりもしますから。時には抱きしめてあげて下さい。安定期になれば、無茶をしない程度なら性交は良いらしいですから。ほどほどに。」

「随分と詳しいんですね、出産のご経験が・・・・?」

 男性のその問いに、私は応える事が出来なかった。その代わりに答えてくれたのは、今まで沈黙を守っていた智だった。

「それは後日、明かになりますが・・・。まぁ、秘密に出来ると言うのなら。彼女は、人為的に流産させられたんですよ。それも安定期間近にね・・・。」

 あれからまだ一ヶ月もたってない。今でもたまにあの時の事を夢に見る。

「情けない事に俺は彼女の妊娠の事実さえ知らなかった。知ったのは全てが終わった後だった。ですからあなたは決してそうならない様に、と。ここは灯さんとお使い下さい。俺達は帰りますから。吉乃、大丈夫か?辛いなら無理するなよ?」

 今はまっ平らなお腹を擦る私を気遣いながら、智は私にコートを着せてくれ、帽子や手袋も甲斐甲斐しく被せ、つけてくれた。

 そして自分もコートとマフラーを身に着け、手袋越しに手を握ってくれた。これも智の自発的な気遣いだった。

「それでは、失礼します。これがウチの連絡先です。何かありましたらそこにどうぞ。俺はだいたい17時には家に居ますので。」

 失礼にならない程度に挨拶を済ませた智は、私の手を引いて、ゆっくりとホテルを出て、その後はその辺を適当に歩き、買い物してから家に戻った。

 

 後日、灯の宣言通り、雑誌は発売された。

 そして、その雑誌の発売が、思いもよらぬ人を浮かび上がらせる事となる。

 罪を犯した者は決して逃れられはしない。
 私がそれを痛感したのは、その明るみに出た人が逮捕され、裁判に掛けられた時だった。 


 私の長く、苦く、辛かった闇は、漸く開けようとしていた。
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