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Si je tombe dans l'amour avec vous

C-5-14 乱入者②

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 「どうして社長がそんな事をしているんですか!!」

 リビングの方から聞こえてくる、知らない人の声。

 

その声の主が気になり、四つん這いで寝室として使っている洋室の扉まで行き、扉に耳をを押しあて、様子を窺ってみれば、どうやら会社の社員が、非常識にもこんな時間(只今の時刻、AM6時半)に、突撃してきたらしい。

「どうして社長が休んでまで、わざわざあの人の看病なんかしなくちゃならないんですか。もう離婚されたんですよね?」

「――帰れ。俺はもう社長じゃない。」

「どうしてそこまでしてあんな人を守ろうとするんですか!!社長には、あんな人より相応しい人が・・・っ、」

 そこで、何かが殴られる様な鈍い音がした。
 多分、智が何かを殴ったんだろう。

(意外と、短気なのね・・・。)

 それでよく私とあんな関係で、三年も一緒に暮せたものだ。
 私にはとても真似できない。
 我慢できないからこそ、あの時、プツン、としたのだ。

 智から知らない人の香りがするだけで、知らない人と話しているのを見ただけで、それこそ男女関係なく、気軽に触れ合っている所を見ただけで苛立ち、それと同時にそんな自分が激しく疎ましく感じていた。
 
 それを誤魔化す為、私は自分でマインドコントロールしていた。

 あの人と私の間には、愛情なんかないんだ、と。

(うわぁー、こうして振り返ってみると、私って凄い我がままで、短気なのかも・・・。)

 人を短絡的だとか、醜いとか、非常識だのと、言えた義理ではないではないか。

 こうして私が冷静に今までの自分の言動を振り返っている間にも、リビングではなおも激しく言い争いが続いていた。

「相応しい・・・?誰が、誰に。」

 一言一言、確かめるような口調の智に比べ、乱入者は。

「万季さんですよ。あんなに気遣いが出来て、社交的で、語学も堪能じゃないですか!!それに社長だって、」

「黙れっ、」

「いいえ、黙りません。社長には万季さんこそが相応しいんです。彼女なら綾橋の社長夫人として、何処に出しても恥ずかしくありません。あんな凡庸な面白みのない人よりは、よっぽど社長に――」

 ガシャンと、硝子が割れる高い音に、私はビクリとし、静に寝室のドアを開けてみた。

(・・・っ、)

 扉を開けた事を一瞬で後悔した。

 あんな顔、今まで一度も見た事が無い。

 よく小説では「般若の様な」とか、「修羅の如く」とか表現しているけど、そんなものではない。
 かと言って、「憤怒」とか、「逆鱗」とも違う気がする。例えるのならあれは・・・。

(氷の女王、いや、覇王ね。)

 あんな眼で睨まれたら、また熱がぶり返してしまうどころか、今度こそ完全に私は死んでしまう。

「もう一度言ってみろ、彼女が、なんだと・・・?」

 静かな智の声が恐ろしい。なのに目が離せない。
 なぜならば、智の手には、凶器になり得る包丁が握られているから。

 アレを感情のまま振りかぶりでもしたら、智の人生は終わってしまう。
 それどころか、漸く掴みかけた何かを奪われてしまう。
 
(そんなの、いや。絶対に嫌っ!!)

 言い様のない喪失の恐怖にガクガク震える身体に喝を入れ、立ち上がり、寝室の扉を開け放ち、二人の注意を自分に向け、意識的に微笑む。

(どうか、声が震えませんように・・・。)

 腹筋に力を込め。

「非常識ではなくて?」

 今の私は眼鏡もコンタクトもしていないから、自然と目つきは悪くなるが、逆にそれが良かったのかもしれない。

 私の突然の出現と、その私の態度に、無礼な乱入者は目を白黒させていた。
 けれど、それも一瞬の事で、すぐに侮蔑の光をその濁りきった瞳に宿した。

 それを認めた私は、彼が口を開く前に、一気に反撃の狼煙を打ち上げた。

「いいえ、これは立派な侮辱、名誉棄損と言った方が良いわね。だいたい、結婚してもない貴方に夫婦の在り方をとやかく言われたくないわ。私が智に相応しくない?何バカなコト言ってんのよ。そんなのはアンタ達が決める事じゃないのよ。」

 憤りで乱れた呼吸を整え、更に猛追する。

 これは先に怯んだ方が負けとなるれっきとした戦。
 負ける訳にはいかない。
 だから容赦は一切しない。

「互いに相応しいか否かを決めるのは私達本人同士であって、部外者のアンタ達じゃないの。そうじゃない、違うんだって言うのは、自分達がそれで得られる利益を見いだせないから。智が私と夫婦で潰れるような会社だと思ってんなら、さっさと辞めっちまいな。そんな社員、こっちから願い下げだってのよ!!」

 手近にあったシュガーポットを引っ掴み、中身を失礼な乱入者にぶち撒き、保育所で自然と鍛え上げられた自慢の腕力で、乱入者を引き摺り(これには智は軽く引いていた。)、外へ追い出し、きっちりと施錠した。

 後に残されたのは、激しい論争に(かなり一方的ではあったが。)勝ち、リビングの床に座り込んだ私と、そんな私を茫然と見やる智と、砂糖で汚れたリビングだった。
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