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Si je tombe dans l'amour avec vous

C-5-10 新しい家

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 「吉乃、着いたぞ」

 車のエンジン音が止まり、智の声が聴こえ、いつの間にか眠ってしまっていた私は、瞼を何度か震わせ開き、自分の目と頭を疑った。

 病院から少し離れた所にある有料駐車場まで、結局手を繋いだまま歩き、それからそこに停めてあった智の私有車であろう車に乗り、車に揺られる事およそ30分。



 新しい家を用意したからと言われ、それに少し悪いなと思いながらも、私はそれに少しばかりホッとした。いくらやり直すと決めても、綾橋本邸に帰るのは怖くて、心細くて、忍びなかったから。

 でも、まさかここだとは思わなかった。

「ここなら、保育所も近いし、あの家も近いだろう?」

 近い、近くないの問題ではない。
 何しろ、私がつい最近まで住んでいたシェアハウスと新しい住処は、目と鼻の先程度の距離しかなく、職場ともあまり離れていないのだから。

 そのせいで、私が中々反応せず、車からも降りようとしなかったせいか、智は少し表情を陰らせた。

「やっぱり、二人で暮らすのは嫌だよな・・・。」

 今までの事を棚に上げて、と、後悔の淵に沈もうとする智の服の裾を掴み、小さく囁く。

 中々反応出来なかったのは驚いたから。
 まさかここのマンションだと思っていなかったから。
 まさか・・・。

「ありがとう。嬉しい。これなら、いつでも尚たちに逢いに行ける。」

 尚や由貴君。
 
(・・・・・・!!)

 胸の中でシェアハウスで仲良くしていた人達を思い出し、「まさかね?」と思いつつ、慌ててガサゴソと手持ち鞄の中から携帯を取り出し、着信履歴を確認してみれば、やはり桁違いの不在着信が残されていた。

「あぁー、尚に怒られるぅ~。由貴君にバカにされるぅ~、小倉さんに泣かれるぅ~」

 この騒ぎさえなければ、昨日は今日の朝方まで飲み明かす予定だった。

 尚と私ともう一人の子で料理を作り、由貴君と小倉さんとメガネ神士(あだ名)でパーティーを盛り上げ、部屋替えのゲームを真剣勝負する筈だった。
 最下位の人は、罰ゲームとして年末の大掃除だった。

 それを無断欠席。怖い。怖すぎる。

「解ってるんなら話は早いわ、吉乃。」

「そうだね。プレゼントまで折角用意してたのに。」

「――、水臭いですよ。吉乃さん」

 三者三様の声が聴こえた様な気がするのは、気のせいだろうか。
 うん、きっと気のせいに決まっている!!と、私が勝手に判断を下し、車から降りた途端、私を頭から覆う様に被せられてきたダークブラウンのショールとマフラーに、するりと自然に指に通された指輪に、押しつけられた紙袋には、来春発売予定の新しい香水と手作りのバッグ類。

「心配したんだからね!?吉乃は夜になっても帰ってこないし、社長は長期休暇を突然取るし、お陰で寝不足になっちゃったんだから」

「小倉君は泣き過ぎて使いモノにならなくなるし、ルナは暴れた挙句、怪しげな呪いは始め・・・、本当に迷惑でしたよ」

 文句を言いながらも、優しく抱きしめてくれる人達。

(あぁ、私は一人じゃなかった・・・。)

 それを今、私は実感している。

 心がふわふわとして、温かい。
 とても満たされる。 
 
 それが嬉しくて、たまらなく幸せで。

「ただいま。待っていてくれてありがとう。みんな、大好き。」

 荷物をその場に放り出し、尚に抱きついたのは素直に嬉しさを表現する為だった。
 けれど、本当は少し男性恐怖症と言うより、嫌悪感が無意識に働いていたのかもしれない。
 
 だけど、そのままでは永遠に私は幸せになれない。
 いつまでも過去に縛られていては、あの忌まわしき家の人達の思う壺。

 いいかげん、私も幸せになっていいはずよね?と自分に自分で問い掛け、私は真実、あの家の呪縛から解放される為、戦う事を決意した。

「ねぇ、お願いがあるんだけど・・・」

 だから、だから、その為に少しだけみんなの力を貸して下さい。
 協力して下さい。

 私の並々ならぬ決意の籠った声を聞いた智や尚たちは、一瞬驚きはしたものの、すぐに頷いてくれた。
 それを見て、私は近い内一つの家が崩壊することを確信した。

(大丈夫、私には皆がいる。)

 そう思い、尚に「アンタしつこい!!」と言われるまで、私は尚に抱きついたまま、ずっとそのままでいた。
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