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Si je tombe dans l'amour avec vous

C-5-2 信じ難い事実③

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  頭が動かない。何が何だか解らない。
 アイツは、紘人は、何と言っていた?

「な、何よ、大袈裟なんだから・・・。」

 

 利依のひび割れ、戸惑い交じりの声音に、何故か万季は微笑んでいた。

「そう、大袈裟ですし、あの人はもう他人なのでしょう?心配する義理はありませんわ。流産は可哀想ではありますけど。」

「・・・、れ」

 おかしそうに、まるで他人事のように言い、笑う万季。
 その態度に、普段は穏やかな気性の父さんが、憎悪の光を宿した瞳を、万季と利依に向けた。

 父さんは会長職に就任したとはいえ、未だに綾橋一族の総帥である。
 その父さんに逆らうのは、綾橋一族に喧嘩を売ると同意でもある。

 今やその眼差しは、それだけで人を殺してしまえそうなほどに鋭い。

「万季さんといったね?」

「え、あ、はい。」

 その父さんの気迫に呑まれた万季にも構わず、父さんは震える右手を左手でなんとか抑え、それでも何かを伝えようとしていた。

「君は堕胎手術を何度も繰り返した女性が、妊娠する大変さを知っているかい?知らないだろうね。ただでさえ妊娠出来る確率が低かったのに、今回の流産で更に難しくなっただろうね。そんな彼女を心配する必要はない?ふざけるなッ!!」

 そこには、20代で綾橋一族をまとめ上げ、今も尚政財界に深い影響と太いパイプを持つ『氷の鬼』と言われる父さんがいた。
 
「と、父さん?」

「お前もお前だ、智。吉乃さんは一人でいつも苦しんでいた。お前が会社で徹夜しているときはそうとも知らず、悩み、苦しみ、一人で泣いてた事も知らないのだろう。お前が女性社員と一緒にいる時も、彼女はいつも一人で泣き、強い孤独を耐えていた。」

 前から父さんは彼女に、――吉乃に対して、実の娘である利依に対して甘い所があった。
 その答えが、父さんが今語った通りなのなら、俺は本当に何も解っていなかった。

 一人で泣いていた?
 一人で苦しんでいた?
 父親に、母親に、姉に虐待されていた?

 そんなのは知らなかった。
 いや、違う。
 何も知ろうとはしなかったんだ。

「お前はいつまでそんな風にぐずぐずしてるんだ。今彼女は生死の淵に彷徨ってるんだろう?逢えるのも、謝れるチャンスも、最期かも知れないんだぞ?良いのか?このまま独りで逝かせても良いのか!!」

「良い訳ないだろう!!俺には彼女しか愛せないんだからッ」

 父さんに反論して、改めて俺は気付かされた。

 彼女と別れてモノクロに戻ってしまった世界。
 カラフルだった世界は音が消え、色彩豊かだった景色も荒野同然もなった。
 味覚も嗅覚も、全てが狂ったかのように機能しなくなった。

 彼女に出会って初めて自分を自分だと認識できたのに、一時の感情で俺は彼女を孤独にしてしまった。

 それを一言逢って直接謝りたい。

 まだ間に合うだろうか。
 まだ彼女は俺を求めてくれるだろうか、赦してくれるだろうか?

(いや、そうじゃない。)

 例え赦して貰えなくても。

「父さん、俺、」

「何も言うな、行くぞ」

 俺の覚悟と決意を読み取ったのか、父さんは表情を和らげ、踵を返した。

 外は雪が降り、何かを覆い隠すように静に淡々と降り続けていた。

 
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